庭の花がいつもより美しく輝いた

35才の初夏の昼すぎ、私は食器を洗っていました。つい残りものの海苔むすびを口に入れて、あまり噛みもせず飲み込んだとたん気道がふさがれ呼吸が出来なくなりました。これが死ぬ苦しみかとすっとフロアーに倒れるように横になりました。家には家族もいましたが、助けを呼ぶひまもなくです。一瞬気を失ったような気がしたのですが、呼吸をしていました。間一髪とはあの日のことを言うのでしようか。しばらく立ち上がれず、横になっていました。その時、庭に目をやりました。いつも観ていた庭の木や花が違った世界のなかで明るく輝いているように見えました。その時離婚を決めました。命あるかぎり納得ゆく人生を生きたい。今まで迷い、くすんだ道がハッキリと見えました。しかしそこまで到達するには数々の問題があります。夫、子ども、私達に関わる人達に納得してもらう=それが私にとって一番の問題でした。それから15年後離婚しました。その時は背中に大きな、白い羽が生えた、本当にそう思ったのです。